<Header>
<Author: 孟浩然>
<Title: 夜歸鹿門歌>
<Format: 七言古詩>
<Year: 1988>
<BookName: 唐詩三百首詳解  上卷>
<Translator: 田部井文雄>
<style: 現代文有假名>
<style2: 日本現代譯文附假名標注>
<TranslatedTitle: 夜歸鹿門歌>
<BookPage: 40>
<UsedPage: 1>
<Feature: 0>
<End Header>
<Poem>
山寺鐘鳴晝已昏，漁梁渡頭爭渡喧。
人隨沙岸向江村，餘亦乘舟歸鹿門。
鹿門月照開煙樹，忽到龐公棲隱處。
巖扉鬆徑長寂寥，惟有幽人自來去。
<End Poem>
<Translation>
山中（さんじゅう）の寺（てら）に鐘（かね）の音（おと）がひびき、昼（ひる）の陽（ひ）ざしがかげって、もはや暗（くら）く暮（く）れかかり、魚梁（ぎょりょう）の渡（わた）し場（ば）には、先（さき）を争（あらそ）って渡（わた）る人々（ひとびと）の声（こえ）がやかましい。人々（ひとびと）は、砂（すな）の川岸（かわぎし）伝（つた）いに歩（ある）いて、川（かわ）べりの村（むら）の方（ほう）へと向（む）かって行（い）き、わたしもまた舟（ふね）に乗（の）って鹿門（ろくもん）に帰（かえ）って来（き）た。

鹿門（ろくもん）の地（ち）に月（つき）が輝（かがや）いて、それまで、夕（ゆう）もやにかすんでぽんやり見（み）えた樹木（じゅもく）が、はっきりと見（み）えはじめ、やがて早（はや）くも後漢（こうかん）の隠者（いんじゃ）麻徳公（まとこう）の隠棲（いんせい）の地（ち）にたどり着（つ）いた。その岩屋（いわや）の門（もん）と松林（まつばやし）の中（なか）の小道（こみち）とは、いつまでもひっそりと静（しず）まりかえり、ただ、廉公（れんこう）のような隠者（いんじゃ）だけが今（いま）も心（こころ）のままに往（い）き来（き）しているばかりだ。
<End Translation>